「見せ方がすべて」と言われる今の時代。でも、それは本当に“今”始まったことだろうか?
昭和のアイドル──松田聖子、小泉今日子、中森明菜。彼女たちは、まだ“インフルエンサー”という言葉すらなかった時代に、セルフブランディングの本質を体現していた存在だった。
本記事では、SNS世代の象徴であるZ世代インフルエンサーと昭和アイドルたちを比較しながら、「見せ方」の仕組みやファンとの関係性、その本質的な共通点を深掘りしていく。
読み終える頃、あなたの「自己演出」の視点がガラリと変わっているかもしれない。
昭和アイドルとは何だったのか?──“見せること”の始まり
昭和のアイドルは、ただ歌って可愛い存在ではなかった。
彼女たちは、“どう見られるか”を徹底的に設計された存在だった。
代表例は松田聖子。彼女の「聖子ちゃんカット」や、「ぶりっ子」と呼ばれた振る舞いは、ただの天然ではなく、メディアに最適化された演出だった。
テレビ出演時の笑顔、手の振り方、カメラ目線、トークの間合い──そのすべてが戦略的だった。まさに、自己ブランディングのパイオニアだったのだ。
Z世代インフルエンサーとは何か?
Z世代(1997年〜2012年生まれ)のインフルエンサーたちは、TikTok、Instagram、YouTubeなどを舞台に活躍している。
特徴は、「自分で見せ方をすべてコントロールできる」こと。
投稿の構図、キャプション、色味、ストーリーの出し方──
1秒単位で「どう見られるか」を設計している。
つまり、Z世代のインフルエンサーは、自ら編集者であり、演者であり、演出家でもあるのだ。
共通点①:セルフブランディングの徹底
昭和アイドル | Z世代インフルエンサー |
---|---|
髪型で差別化(例:聖子ちゃんカット) | 世界観の統一(フィードの色味) |
キャラ設定(元気・ミステリアス) | キャプション・表情での個性演出 |
レコードジャケット・衣装 | インスタのリール・サムネイル設計 |
→「自分をどう見せるか=ブランド」と捉える姿勢は共通している。
共通点②:ファンとの“共犯関係”
昭和アイドルの時代にも、「推す」という文化は存在した。
ファンクラブ、握手会、応援団──ファンはただの観客ではなく、「物語の一部」として機能していた。
Z世代も同様だ。
ライブ配信でのコメント読み上げ、ファンとの共同企画、DMでの交流。ファンを巻き込む仕掛けはより進化しているが、その本質は昭和と同じ。
→ファンを“消費者”ではなく、“共演者”として扱う構造が共通している。
共通点③:“物語性”をまとわせる演出力
松田聖子と中森明菜の「正反対キャラ構造」、小泉今日子の“媚びないアイドル”戦略──すべてに物語があった。
Z世代でも、「彼氏バレ」「炎上」「黒歴史カミングアウト」など、ストーリー展開を設計し、ファンの感情を動かす仕掛けがある。
人は「物語に惹かれる」。それは昭和も令和も変わらない。
違い①:演出スピードの差
要素 | 昭和アイドル | Z世代インフルエンサー |
---|---|---|
媒体 | テレビ・雑誌 | SNS・動画プラットフォーム |
更新頻度 | 月単位の露出調整 | 日単位〜1時間ごとの即時投稿 |
反応速度 | 数週間〜数か月 | 数分〜リアルタイム |
→Z世代は**「演出のPDCA」が高速化**されている。
違い②:誰が“見せ方”を決めるか
昭和は、事務所やテレビ局が主導して“キャラ”を決めていた。
Z世代は、自らコンセプトを設計し、トライ&エラーを繰り返していく。
昭和は“演じさせられる”、Z世代は“自ら演じる”。
→演出の“主権”がZ世代に戻ったと言える。
共通構造:人を惹きつける“4つの要素”
コピーする編集する① 一貫したキャラクター
② 世界観の構築
③ ファンとの接点設計
④ 物語性の挿入
この4つは、昭和アイドルもZ世代インフルエンサーも共通して持っている。
つまり、“見せ方の設計”の本質は、時代が変わっても変わらない。
現代に生きる“昭和アイドル的発想”の価値
Z世代がバズるために使っているノウハウの多くは、実は昭和にすでに存在していた。
- 「トーク力」「キャラ設定」「見せ方」は、昭和アイドルが磨いた武器
- 「あざとさ」と「計算された可愛さ」は、松田聖子の発明
Z世代は、テクノロジーでそれを高速化・拡張しているだけとも言える。
まとめ:時代を超えて通じる「見せ方」の力
どんな時代でも、人を惹きつけるのは「魅せる力」だ。
昭和のアイドルたちは、事務所の戦略の中であっても、自分らしさを演出し、ファンの心を掴んだ。
Z世代のインフルエンサーたちは、テクノロジーを武器に、自らの人生を“魅せるコンテンツ”へと変えている。
「自分をどう見せるか」は、単なる表現ではない。
それは、時代を生き抜くためのサバイバル術だ。
だからこそ、見せ方の天才たちに学ぶことは、今を生きる私たちにとって必要な教養と言えるだろう。
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