——『恋愛ドラマな恋がしたい』が映す“感情のリアル”
はじめに|そのキスは、演技か、それとも本音か?
「台本だから、キスしただけ」
「仕事だから、好きとかじゃない」
そう言いながらも、唇が触れ合った瞬間に生まれる、わずかな“間(ま)”。
それを見逃すまいと、画面の前の私たちは息をのむ。
『恋愛ドラマな恋がしたい』(通称:ドラ恋)は、恋愛リアリティ番組でありながら、「台本のキス」という演技の場面を通じて、視聴者の“感情の奥底”を揺さぶる異色の作品です。
本記事では、なぜ私たちは「演技上のキス」なのに本気でドキドキしてしまうのかを、心理学・構造・視聴体験の3つの軸から紐解きます。
『恋愛ドラマな恋がしたい』とは?|演技とリアルの狭間
AbemaTVで配信されている『ドラ恋』は、若手俳優・女優たちがペアを組み、恋愛ドラマの主演カップル役を演じながら、リアルな恋愛も同時進行するという番組です。
他の恋リア番組と違うのは、「演技指導を受けた上でのキスシーン」が毎話登場し、その演技がきっかけで本当に恋に落ちていく人がいるという構造。
視聴者は、“恋が生まれる瞬間”を、“演技という建前”越しに見ることになります。
この特殊な構造が、「ただのキス」ではない、“本気かもしれないキス”に私たちの感情を重ねさせるのです。
心を奪われる3つの心理トリガーとは?
1. 曖昧な関係に揺れる共感
演技の中でのキス。
それは「好きとは言っていないけど、好きになってもおかしくない関係」。
この“曖昧さ”こそが、私たちの共感トリガーです。
心理学では「不確実性の原則」により、はっきりしない関係ほど人の関心は高まるとされます。
2. 非言語の“揺れ”がリアル
・視線の揺れ
・間のとり方
・呼吸の乱れ
これらの非言語的サインが、「演技」を超えるリアルを生み出します。
💡 メーラビアンの法則:93%の情報は非言語(視覚+聴覚)で受け取られる。
だから、目線・沈黙・表情が、“本音”として伝わるのです。
3. 見ている側も“役に入り込んでいる”
私たち視聴者は、ただ見ているだけではなく、登場人物の役に自己投影しています。
これは心理学で「投影同一化」と呼ばれる現象で、
- 「自分ならどう感じるか?」
- 「このキス、私だったら落ちる」
そんな風に、疑似恋愛体験として視聴しているのです。
SNSの声が物語る、“刺さったキス”
X(旧Twitter)やTikTokでは、ドラ恋のキスシーンが放送されるたびにバズります。
- 「見てて心臓止まりそうだった」
- 「沈黙がリアルすぎて泣いた」
- 「キスした後の表情がすべてを語ってた」
これらは、台詞ではなく“余白”に感情を感じている証です。
なぜ“本音を演じる”と人は惹かれるのか?
演技とは、嘘をつくことではなく、本当を想像すること。
台本のキスを通じて、
- 好きかどうかわからない相手と触れ合う
- 心が想定以上に動く
- それが「役」なのか「本心」なのか分からない
この揺れこそが、私たちの胸を打ちます。
“演技だから”では片づけられないリアルな感情
印象的なシーンがあります。
台本に書かれていないのに、キスした後に涙を流す女優。
それは演技ではない。
その瞬間、感情がリアルに動いた証拠。
だから、視聴者も本気で恋をしたような気持ちになるのです。
まとめ|だから私たちは、あのキスに恋をする
『ドラ恋』はただの恋リアではありません。
「感情のリアル」を見せてくれる体験型コンテンツです。
台本のキスに心を奪われるのは、そこに“演じられた本音”があるから。
その揺れる感情に、自分の恋愛を重ねるから。
演じたキスで、本当に恋に落ちる人もいる。
そして、画面のこちら側の私たちもまた、“あのキス”に恋をしているのです。
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